環境省釧路自然環境事務所が釧路湿原国立公園内で特定外来生物ウチダザリガニの駆除へ向けた初の生息調査を行っている。個体のデータなどを集めた上で本格的な駆除に乗り出す。
同湿原でのウチダザリガニの調査はこれまで分布状況などを確認することを目的に行われていたが、昨年二月に外来生物法で特定外来生物に指定されたため初めて駆除を目的に「防除実施計画」を作成。その一環として生息調査を開始した。
調査は湿原内で生息数が多いとされる温根内川(鶴居村)で六月下旬から開始。川に網を仕掛けて、二十一日に行った四回目の調査までに計四百二十二匹を捕獲した。捕獲した個体は一匹ずつ体重、体長、オスメスの種別などのデータを集めた上で駆除している。
さらに、これまで生息が確認されていない温根内ビジターセンターの木道でミンクのフンからウチダザリガニの殻が見つかったため、二十一日に初めて木道周辺に網を仕掛けたが、この日は一匹も捕獲されなかった。
調査は十月下旬まで続け、その結果を踏まえて来年度以降、温根内川で駆除を開始するか、新たな調査地域を設けるかなどを決める。同事務所は「根絶は難しいが、集めたデータをもとに確実に駆除することで可能な限り湿原内での個体数を減らしていきたい」と話している。(大矢太作)
【写真説明】駆除へ向けた初の調査で釧路湿原で捕獲されたウチダザリガニ