外来生物法で特定外来種に指定される「ウチダザリガニ」が、洞爺湖(胆振・洞爺湖町)で異常増殖し、今年の駆除数がすでに昨年の6倍の約8000匹に達していることが31日、環境省洞爺湖自然保護官事務所の調べでわかった。
既存の生態系に大きな影響を及ぼす恐れがあり、環境省は駆除活動の強化を検討している。
今年の駆除活動は5月下旬から始まり、これまでにダイバーが湖水に潜ったり、捕獲用のカゴなどを仕掛けたりして駆除してきた。駆除個体数は計7929匹で、すでに昨年(1367匹)の6倍と、異常に増えている。
生息範囲は、洞爺湖温泉側を中心にした延長約1・8キロの水域で、水温が比較的高い水深18メートルで活動範囲を広げているという。個体も昨年に比べて大きめで、大きなツメの部分を含めると20センチ前後のものも多いという。
同事務所の鈴木祥之保護官は、「水温が高いわけでもなく、なぜ爆発的に増えたのかわからない。ウチダザリガニは雑食性で、自然界への影響が極めて大きいため、今後も徹底した駆除と生態研究が必要」としている。
ウチダザリガニは、フランス料理の食材として、1930年ごろにアメリカから摩周湖に導入された。その後、道内各地に持ち出され、洞爺湖でも一昨年暮れに初めて確認された。