盗み? いたずら?  ウチダザリガニ  駆除かごから消える  洞爺湖
2008 年 8 月 5 日

環境省が7月末から洞爺湖で行った、特定外来生物「ウチダザリガ」のカニかごによる駆除で、捕獲数が最も多いはずのエリアでほとんど捕獲できない不自然な結果が相次いだ。同省は「売る目的でかごから盗まれた可能性がある」とみて、警戒を強めている。

 ウチダザリガは北米原産で繁殖力が強く、在来種や生態系を脅かす恐れがある。洞爺湖では2005年に初確認されて以来、同省が駆除を続けている。

 今回の駆除は、繁殖域の調査を兼ねたもので、ロープをつないだかごを湖に等間隔で沈め、翌朝水揚げする。ところが7月29日の最初の水揚げでは、一昨年、昨年の同じ調査で最も捕獲数が多かった5カ所で、かごのファスナーが何者かに開けられ、捕獲数が0〜6匹と極端に少なかった。5カ所の両隣は30〜40匹台と、予想通りの結果が出た。

 さらに翌30日も、同じエリアの4カ所が、0〜4匹だった。

 31日には、湖畔の柵とかごをつないでいたロープが切られ、かご2個がなくなる事態に。同省は伊達署にかごの盗難届を出し、8月4日までの予定だった調査を中止した。

 特定外来生物は、同省の許可なく飼育、運搬などの行為が、外来生物法で禁じられている。同省洞爺湖自然保護官事務所は「ウチダザリガはマニアの間で人気が高い。営利目的で盗まれたか、いたずらで逃がされたのではないか」と、繁殖域拡大を懸念している。


網を揚げたものの、捕獲数が予想外のゼロだったカニかご(胆振管内洞爺湖町)



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