科学のまちから- 農村工学研究所 ザリガニ対策で漏水防止 /茨城
2009 年 8 月 4 日
毎日新聞

 アメリカザリガは田んぼの厄介者だ。あぜを掘って穴をあけ、水漏れを起こす。水を無駄にし、農薬や肥料が流出して不作にもつながる。だが従来、実態や対策の研究はほとんどなかった。

 農村工学研究所(つくば市観音台)の若杉晃介研究員(33)は、つくば市松塚の水田で実地調査をした。

 水田と用水路を区切るあぜを歩き、土の塊をどけて下を見る。ザリガが掘った土を押し出して作った塊なら、下に穴がある。

 08年は約4ヘクタールの水田で、直径5〜10センチの穴を153個見つけた。厚み30〜60センチのあぜを貫き、用水路に達した穴も十数個あった。

 漏れる水の量を試算すると、30アールの水田で最大1日129トンに達した。田に補給する水は通常、1日最大90トンだから大被害だ。

 対策として、あぜと水田の間に、ザリガが貫通できないプラスチックシートを地下70センチまで埋め込むことを提案している。実地調査の結果、ザリガの穴の深さは、平均で地表から25センチ、最大で1メートル。70センチまで埋めればほとんどの漏水が防げるとみられる。

 シートは従来も使われてきたが、埋める深さは5センチ程度。ザリガは楽々と下をくぐっていた。

 6月から秋田県大潟村に通う。村の水田では漏水の影響で排水ポンプの電気代が年間1億4000万円にもなり、困った秋田県が若杉さんに調査を頼んだ。

 村では7月末に水田の水を一度抜く“中干し”をしている。「中干しすると地下水位が下がり、ザリガは水を求めて掘るので穴が増える。8月にまた行って調べます」と若杉さんは話している。



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