ザリガニ、都会人に好評 北欧料理店が取り寄せ


2009年10月21日
毎日新聞

大物が多い田尻産のアメリカザリガニ=2009年10月20日

大崎市田尻の水田地帯に生息するアメリカザリガニを東京都心のスウェーデン料理専門店が取り寄せ、北欧定番メニューの「香草入りボイルドザリガニ」として提供している。店側は「水質環境が良いのか、田尻産は申し分ない素材」と評価。水田を荒らす嫌われ者が都会人の舌をうならせる。

 ザリガニの捕獲・発送役は田尻でビオトープ園「メダカの郷」を主宰する高橋孝憲さん(61)。あぜに穴を開け苗をちょん切る外来種を退治しようと、3年前、地元有志と「アメリカザリガニを食べて減らす会」を作り年数回、捕獲し試食会を開いている。その模様を民放テレビ局が今夏放映したのを東京・赤坂の料理店「ストックホルム」の料理長が見て高橋さんに連絡したのが仕入れのきっかけになった。

 ボイルドザリガニは北欧の春から秋の野外料理の定番という。同店は38年前の開店時から東京・築地市場経由で茨城県・霞ケ浦産を使用してきたが近年、品不足がちで高橋さんに捕獲を依頼した。

 高橋さんは今月半ばまで毎週2回、2〜3キロを生きたまま発送。店側は大きめのサイズとプリプリした肉質を絶賛。北欧人だけでなく、味わいになれた20〜60代の日本人がリピーター客になっているという。

 築地でのザリガニの卸価格は1キロ2500円と毛ガニと同じぐらいの価格という。高橋さんは1キロにつき1000円の捕獲・発送手数料を受け取り、園の運営費などに充てる。

 ザリガニは冬眠期に入り捕獲・発送は中断。店のメニューからも外れるが、来春の仕入れ再開は約束済み。千葉県内の淡水魚業者や九州方面の居酒屋からも取り寄せの打診が来ている田尻産ザリガニ。高橋さんは「都会などで喜ばれるなら田んぼの悪役も本望では」と話す。



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