巨大な新種ザリガニ、米テネシー州

2011年1月24日
ナショナル・ジオグラフィック・ニュース


アメリカのテネシー州を流れるショールクリークで発見された新種のザリガニ。その肉付きのよさは、現生するすべてのザリガニを凌駕している。学名バルビカンバルス・シモンシ(Barbicambarus simmonsi)というこのザリガニは体長が約13センチで、この地域で一般的に見られるザリガニの2倍近い。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校とイースタン・ケンタッキー大学の水生生物学者チームが、深い川底の岩の下に潜んでいるところを発見した。バルビカンバルス属のザリガニの触覚は独特な“ヒゲ状”で、鋭い剛毛にびっしりと覆われているため感度が高められている。

この新種についての論文は「Proceedings of the Biological Society of Washington」誌に掲載された。


2倍のサイズ、巨大な新種ザリガニ

2011年1月24日
ナショナル・ジオグラフィック・ニュース


新種のザリガニ「バルビカンバルス・シモンシ(Barbicambarus simmonsi)」はアメリカ南東部で一般に見られるザリガニのほぼ2倍の大きさで、遺伝学的に最も近い種はロブスター並みの大きさにまで育つこともある。2009年以降、数件の目撃報告があり、今回のショールクリークでの徹底調査となった。

米南東部の多様性、巨大な新種ザリガニ

2011年1月24日
ナショナル・ジオグラフィック・ニュース


テネシー州のショールクリークでは過去50年にわたって調査が行われてきた。その川底の岩の下から新種の大ザリガニが発見されたことは、遠くアジアやアフリカにある河川や湿地帯まで旅をせずとも身近な場所で新種の生物を発見できることを示している。

アメリカ南東部には多様な水生生物が生息する。特にアパラチア山脈南部を中心とする地域には数百もの泉、池、早瀬や河川、湿地帯が点在し、固有種が小さな個体群を形成している。南東部は淡水生ムール貝の世界最大の生息地で、淡水生の巻貝やザリガニ、カメも豊富に生息する。さらに、亜種を含めると約1000種いるアメリカ産淡水魚のうち700種近くが生息している。

新種のザリガニを発見した水生生物学者チームの一人で、イースタン・ケンタッキー大学で生物学を教えるギュンター・シュースター教授は声明で、「アメリカは毎年数百万ドルもの助成金を交付して、生物学者をアマゾンや東南アジアなど世界各地へ派遣して生物多様性の調査研究を行っている。しかし皮肉なことに、国内での同様な調査への助成金はごく限られている。国内にも調査するべき地域がまだ数多く存在しているのだが」と述べている。