津軽海峡、大昔は地続き? ザリガニの遺伝子で判明

2012年4月5日
朝日新聞

ニホンザリガニ=北海道大提供


 北海道と本州は大昔、地続きだった――。そう推論する根拠がニホンザリガニの研究で得られたと、北海道大学の小泉逸郎特任助教らの研究グループが、3月28日付の米科学誌プロスワンで発表した。

 ニホンザリガニは唯一の日本固有のザリガニで、絶滅危惧種に指定されている。北海道と東北北部にしか生息していない。ニホンザリガニの遺伝子は生息地域による差が顕著で、生物が分布を広げてきた時期や経路が反映されているという。

 研究グループは、青森県など東北北部と北海道の71カ所で採取した600匹のザリガニの遺伝子を解析。その結果、札幌市近郊に生息するニホンザリガニが、最も古い300万年以上前の遺伝子を残していた。ここを起点に徐々に南下し、現在の東北地方に広がったとみられることがわかった。ニホンザリガニは川に生息し、海を渡れないため、北海道と本州が地続きだったことを示す根拠になるという。

 津軽海峡は、海面がいまよりも100メートル以上低かった最終氷河期(1万2千年前)でも、地続きにはならなかったとの見方が一般的だ。しかし、それ以前については、はっきりとしたことはわかっていなかった。

 小泉助教は「さらに多くの遺伝情報を調べれば、津軽海峡がつながっていた時期や回数など、より詳細が明らかになる。今後も調査を続けていきたい」と語った。



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