「クーナック」(アポリジニ語語源)という名称は、ウエスタン・オーストラリア州に棲息する2種のザリガニに対して使われている。1つは、広く棲息している学名Cherax
plebejus (preissi) に対してであり、これはサウス・ウエストから小麦地帯にかけて広く見られる。もう一つは、Cherax
glaberに対してであり、この種はマンジマップ南のサウス・コーストという限られた地域に棲息している。
東部から導入されたヤビー(Cherax albidus)は、今では小麦地帯にかけて広く見られるが、しばしば誤ってこれをクーナックと称することがある。「オーストラリア産ザリガニの見分け方」で、クーナック、ギルギー、マロン、ヤビーに関し、図を使って詳しく説明しているので参照のこと。
クーナックは、海岸近くの沼のように、干上がってしまう沼や、小麦地帯の冬出現の小さな流れのようなところに棲息する。夏の干上がり時には、シャベルのような幅広のハサミで穴を掘り、水位に達するところまで掘り下げることにより生き延びる。初冬に水が戻ってくるまで穴に蓋をして中に留まる。
クーナックは、初冬に水中に戻るが、それより以前に、穴の中で交尾し産卵する。摂食と成長は、乾期が到来する以前の、冬及び初春になされる。
クーナックは、ヤビーやマロンと同様、養殖池のように一年中水のある池にストックされているが、実のところ、その成長率や成熟年齢についてはまだ分かっていない。おそらく、ヤビーに匹敵するぐらい早く成長し、1年で成熟するものと思われる。
クーナックは、「冬種」であることに関しては、粗放的養殖がなされている米国ルイジアナ州のアメリカザリガニと同じであり、「夏種」であるヤビーやマロンとは異なる。「夏種」は冬には成長せず、また春から初夏にかけて繁殖する。