タロットのザリガニ
皆さん、タロットにザリガニが描かれているのを知っていますか?

タロット(大アルカナ)には22枚のカードがありますが、18番目が月(The Moon)です。その月のタロットの中に、ザリガニがいるのです。

何かとマイナーな存在であるザリガニが、タロットに登場しているなんてスゴイと思いませんか?

「それに比べて、わが国の花札に、ザリガニがいないなあ」なんて思っている人はいませんか?

でも考えてもみてください。

現代では、多くの日本人はザリガニを身近な存在だと感じているでしょう。

日本中、池や川のいたるところにザリガニがいるからです。




しかし、昔はそうではありませんでした。

昔といっても、そんなに昔のことではありません。

現在のようにザリガニが身近に見られるようになったのは、高々ここ100年以内のことです。

明治時代や大正時代でさえ、わが国にはニホンザリガニしかいなかったので、北海道や東北北部のごく限られた人を除き、生きたザリガニを見たことのある日本人は一般にはいませんでした。

ましてや江戸時代には、北海道は未開の地であったので、ザリガニの存在さえ殆どの人は知らなかったことでしょう。

シーボルトが西洋の薬であったオクリカンキリについて、「これはザリガニの胃石である」と説明しても、初めて聞いた門下生は、「ザリガニって一体何?」と思ったはずです。

このように、日本文化の中でザリガニがマイナーなのはいたしかたないことです。
花札にザリガニか登場するわけがありません。

しかし、ヨーロッパは違います。
昔から人の住む場所にザリガニがいたからです。
タロットのような古い歴史のあるカードにザリガニが描かれているのも、ごく自然なことなのです。
羨ましい限りですね。

それでは、タロットの絵を詳しく見てみましょう。

上には大きな人面の月が描かれています。
そして、月からは、月光が周りに降り注いでいます。

他方、一番手前には青い池があり、そこにザリガニがいます。

ザリガニのいる池から月に向かって一筋の道が続いており、途中に2匹の犬が道を挟んで座っています。

更にその先には、1対の石の門が立っています。


タロットの絵にはちゃんと意味がありますので、それについて説明しておきましょう。

月は、陰を象徴するものです。
しかし、月は太陽の光を反射しているので、その背後には陽である太陽が控えているということです。
すなわち、月の背後には、輝かしい希望の世界があるということです。
その月に向かっては一筋の道が繋がっています。
月の手前にある石の門は、その世界への入り口を表しています。

さてザリガニですが、このザリガニは私たち自身、あるいは私たちの自我を表しています。そして私たちの自我は、また、ザリガニのように殻に閉じこもっているものです。

ザリガニの棲む池には青い水が淀んでいますが、この水は私たちの淀んだ感情、憂鬱で不安定な感情を象徴しています。

ザリガニは、この憂鬱な世界を脱し、月の明るい世界への道をたどって行かねばなりません。

しかし、途中には2匹の番犬が、私たちの行く手を阻んでいます。
そう簡単に月に行けそうもありません。
ザリガニは、中々憂鬱・不安定な世界から抜け出すことができないでいるのです。

このような絵なので、18番目の月(The Moon)のカードは、次のようなことを暗示します。

 不透明 − 緊張 − 猜疑 − 幻想

 欺瞞 − 葛藤 − 不明瞭

 混乱 − 幻覚 − 恐怖 − 想像
 − 不安


 ロマンティシズム − 心配 − 懸念
 − 空想


ザリガニが私たち自身、私たちの自我を表しているなんてスゴイでしょう?

ザリガニストやっていて、やっぱり正解だったのではないかと再認識した人いませんか?

最後に、18番月(The Moon)のタロットのイメージ・コレクションをお見せしますので、そこに描かれているザリガニをよ〜くご堪能ください。

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