特定外来生物にヤビーなど指定

Q&A . . . . 上級編
おことわり

本コーナーでの解答は、あくまでも、環境省により開示された情報等を参考に、ざりがに.COMを運営する東京ザリガニ研究所のリーガルアドバイザーが独自に考察したものです。もとより法の有権解釈はできませんので、正確かつ正式な解答をお求めの方は、環境省自然環境局野生生物課にお問い合わせください。
また、便宜上Q&Aという形をとっていますが、考察結果を整理して示すためQ&A形式を使用しているものであり、法律相談を行った又は行うものではありません。
なお、以下では、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」を「法」と、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令」を「政令」と、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行規則」を「規則」と言うこととします。(06年1月現在の内容です。)


目次

概要
Q1:政令改正の概要を教えてください。

種類
Q2:特定外来生物に指定されたザリガニの種類は具体的には何ですか?
Q3:アメリカザリガニは飼育できますか?
Q4:アメリカザリガニはなぜ特定外来生物に指定されなかったのですか?
Q5:フロリダ・ブルー、フロリダ・ハマーは飼育できますか?

禁止事項・期日
Q6:特定外来生物に指定されたザリガニの飼養等が原則禁止されましたが、飼養の他に何ができなくなりましたか?
Q7:いつからできなくなりましたか?
Q8:原則禁止とのことですが、例外的に禁止されないのはどういう場合ですか?
Q9:特定外来生物のザリガニを現在ペットとして飼育していますが、施行日である0621日までに申請し許可が下りていないと、21日以降は飼育できませんか?
Q10:06年21日の何時の時点で現に飼育していれば良いのですか?

許可申請
Q11:特定外来生物のザリガニの飼育許可申請はいつまでにしなければなりませんか?
Q12:06年2月1日より前から飼育していたザリガニを06731日まで飼育したとして、結局許可を得なかった又は得られなかった場合、その後はどうすればよいですか?
Q13:申請したところで、許可される見込みはありますか?
Q14:環境大臣への許可申請の仕方を教えてください。
Q15:申請書はどこへ提出すればよいですか?
Q16:申請書の「施設の点検方法」欄にはどのように書けばよいですか?
Q17:申請書の「飼養等が困難になった場合の措置」欄にはどのように書けばよいですか?
Q18:施設の図面及び写真はどのようなものが必要ですか?
Q19:「罰金以上の刑に処せられその執行後2年を経過していない者ではないこと」及び「飼養等の許可を取り消され取消しの日から2年を経過していない者ではないこと」を証明する書類は、どのようなものですか?
Q20:申請を提出してから許可するかどうかの処分が決まるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

施設・水槽
Q21:飼養等の施設はどのようなものでなければなりませんか?
Q22:愛がん目的なので水槽型施設等で飼育しようと思いますが、水槽型施設等はどのようなものでなければなりませんか?
Q23:転倒、落下等による外部からの衝撃により容易に破損しない水槽でなければならないとのことですが、ガラス水槽でもいいですか?
Q24:水槽の掃除のため、ザリガニを水槽から出してもいいですか?

許可期間
Q25:どれぐらいの期間飼養等することが許可されますか? その期間中に死なずその後も生き続けた場合どうしたら良いですか?

識別方法
Q26:許可を受けるに当たって、飼養するザリガニにマイクロチップを埋め込まなければいけませんか?

繁殖
Q27:特定外来生物に指定されたザリガニの繁殖は可能ですか?
Q28:ペットとして許可を受けて飼育していたザリガニが産卵してしまいました。どうすればいいですか? 孵化するまでは「飼養」に該当しませんか?

目的
Q29:ペット店で主にザリガニを販売することを生業として営んでおりますが、施行後も「生業の維持」のために販売は許可されますか?
Q30:食用アメリカザリガニの養殖業者ですが、今後はヤビーの養殖も手がけたいと考えています。「生業の維持」目的での飼養等が許可されますか?
Q31:アマチュアですがザリガニの研究をライフワークとしてきました。「学術研究」目的での特定外来生物であるザリガニの飼養等が許可されますか?
Q32:小学校教師ですが子供達にザリガニの生態を見せるために教室で特定外来生物のザリガニを飼育したいと考えています。「教育」目的での飼養等が許可されますか?

具体的ケース
Q33:自宅の庭の池に放しても、法で禁ずる「放すこと」に該当しますか?
Q34:ヤビーをアメリカザリガニだと勘違いして飼育していた場合、処罰されますか?
Q35:熱帯魚の雑水槽中にヤビーが紛れ込んでいることに気がつかないで飼育していました。処罰されますか?
Q36:ウチダザリガニが釣れてしまいました。どうすれば良いですか? 直ちに殺さなければいけませんか? そのままリリースすると、法が禁ずる「放つこと」に該当しますか?
Q37:ウチダザリガニが釣れたときに水の入っていないクーラーボックスに入れた場合、法で禁ずる「保管」に該当しますか?
Q38:特定外来生物であるザリガニを放流したときの罰則を教えてください。
Q39:食用のマロンやレッドクロウは輸入されるのでしょうか?
Q40:飼養等の許可を得ていない者が、鮮魚店で食用として購入した上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)やマロンの生体を持ち帰ることは、法で禁止されている「保管」や「運搬」に当たりませんか?
Q41:ネット・オークションで特定外来生物に指定されたザリガニを売りに出したらどうなりますか?
Q42:飼養等の許可を受けている者同士での売買はできますか?

未定外来生物
Q43:規則改正の概要を教えてください。



Q1:政令改正の概要を教えてください。

A1:政令改正案が05年12月14日に閣議決定され、政令は06年2月1日から施行されました。政令別表に、特定外来生物の第2次選定が反映されており、ザリガニについて言えば、アスタクス属全種、ウチダザリガニ、ラスティークレイフィッシュ、ケラクス属全種の2属全種と2種が特定外来生物として指定されました。このため、06年2月1日以降、これらのザリガニを飼養等することは禁止となりました。これに違反して、これらのザリガニを飼養等した場合、懲役1年以下・罰金100万円以下に処せられます。また、販売や頒布目的で飼養等した場合や放ったりした場合には、更に重い懲役3年以下・罰金300万円以下に処せられます。但し、環境大臣から許可を得れば、飼養等をすることができます。なお、施行日(06年2月1日)に現に特定外来生物のザリガニを飼養等していた場合には、やむを得ない事由であるので、環境大臣の許可を得ていなくても、施行後6ヶ月の間(06年7月31日)まではそのザリガニを飼養等することができます。


Q2:特定外来生物に指定されたザリガニの種類は具体的には何ですか?

A2:アスタクス属全種、ウチダザリガニ、ラスティークレイフィッシュ、ケラクス属全種の合計2属全種と2種が政令別表で指定されました。アスタクス(Astacus)属はヨーロッパ原産のザリガニで5種います。インボイス名は、ターキッシュ又はガルシアン(Astacus leptodactylusノーブル(Astacus astacusなどです。
ウチダザリガニ又はタンカイザリガニ(Pacifastacus leniusculusは、元々アメリカ北西部原産のザリガニですが、ご承知のとおり北海道、福島、滋賀などに定着しています。
ラスティークレイフィッシュ(Orconectes rusticusは、北米(オハイオ、ケンタッキー、テネシー、インディアナ、イリノイ)原産のザリガニです。
ケラクス(Cherax)属はオーストラリア、ニューギニア原産のザリガニで44種類います。インボイス名は、ヤビー(Cherax destructor又はCherax albidus)、マロン(Cherax tenuimanusレッドクロウ(Cherax quadricarinatusクーナック(Cherax plebejus又はCherax preissii)、ローレンツィ(Cherax lorentziなどで、ゼブラ、イリアンジャヤなどもケラクス属に含まれます。
これらのザリガニは、0621日以降、飼養等が原則禁止されました。ブルーザリガニ、オレンジザリガニ、ホワイトザリガニ等は、多くの場合アメリカザリガニの色彩変異ですが、禁止された種類の色彩変異である場合もありえますので、十分注意してください。



Q3:アメリカザリガニは飼育できますか?

A3アメリカザリガニ(Procambarus clarkiiは特定外来生物に指定されなかったので、飼養等が禁止されていません。これまでどおり、飼育や繁殖が可能です。但し、アメリカザリガニは「被害に係る一定の知見はあり、引き続き指定の適否について検討する外来生物」と位置づけられ、要注意リストに入っていますので、将来、特定外来生物に指定される可能性があります。
オレンジザリガニ、ホワイトザリガニ等は、多くの場合アメリカザリガニの色彩変異なので飼養等できますが、他の種類の色彩変異である場合もありえますので、十分注意してください。



Q4:アメリカザリガニはなぜ特定外来生物に指定されなかったのですか?

A4:理由について、環境省は明らかにしていません。生態系の保護という観点からは、アメリカザリガニこそまず特定外来生物に指定されてしかるべきものと思われますが、アメリカザリガニが指定されなかった理由のひとつとして、法の実効性確保が難しいことがあるのではないかと思われます。05年6月施行された1次指定でブラックバスが特定外来生物となりましたが、釣り人等の間で少なからず混乱が生じました。法の解釈に関し、例えば「釣り大会でイベント終了後も引き続き水の入ったクーラーボックスにブラックバスを入れておくことは「保管」に該当し違法であるが、クーラーボックスに水が入っていなければ「保管」に該当せず違法でない」「釣ったブラックバスをイベント主催者が検量した後ただちに釣り人に返し釣り人がリリースすれば「保管」に該当せず違法ではないが、イベント主催者がリリースする場合は「保管」に該当し違法である」というような公式解釈を環境省は出し、釣り人の便に供しようとしましたが、このような法解釈は成人でさえ中々理解しづらいものがあります。ましてや、アメリカザリガニには日本中の子供も含め未成年から成人まで幅広い層が関与しているため、国民一般に一律に法を正しく解釈し適正に対処してもらうことを期待するのが難しいものと思われます。このような状況の下では、法の実効性の確保が困難であり、そのことが、指定を見送った理由の一つではないかと考えられます。ミドリガメも同じような理由により特定外来生物への指定が見送られているのではないかと思われます。


Q5:フロリダ・ブルー、フロリダ・ハマーは飼育できますか?

A5フロリダ・ブルー、フロリダ・ハマー(Procambarus alleni又はProcambarus paeninsulanus)は、今回、特定外来生物に指定されなかったので、飼養等が禁止されていません。これまで同様、飼育や繁殖をすることができます。


Q6:特定外来生物に指定されたザリガニの飼養等が原則禁止されましたが、飼養の他に何ができなくなりますか?

A6:飼養に加え、保管、運搬、輸入、譲渡し、譲受け、引渡し、引取り、放つことが原則禁止されました。(法4条、7条、8条、9条)なお、譲渡し、譲受け、引渡し、引取りは、有償無償を問わず原則禁止です。


Q7:いつからできなくなりますか?

A7:政令の施行日である06年2月1日から、原則禁止されました。但し、施行日(06年2月1日)に特定外来生物のザリガニを飼養等していた場合は、やむをえない事由であるので、環境大臣の許可を得ていなくても、施行後6ヶ月の間(06年7月31日)までは飼養等することができます。


Q8:原則禁止とのことですが、例外的に禁止されないのはどういう場合ですか?

A8:環境大臣の許可を受けた場合です。許可されるのは、学術研究のほか、展示や教育、生業の維持などを目的とした場合です。また、ペットとしての飼養等、すなわち愛がん目的の飼養等では、新たなものは許可となりませんが、特定外来生物の指定前(06年2月1日より前)より飼養等をしていたザリガニに限って、適切な施設等が確保されている場合には、一代限りの飼養等が許可されます。(法5条、規則3条)従って、0621日前に飼養等していたザリガニに関し、ザリガニ愛好家が申請して、飼養等施設等の諸条件を満たしているとして許可されれば、施行後も飼養等が可能です。



Q9:特定外来生物のザリガニを現在ペットとして飼育していますが、施行日である0621日までに申請し許可が下りていないと、21日以降は飼育できませんか?

A9:特定外来生物の指定日である0621日に、特定外来生物であるザリガニを現に飼養等していた者は、それまでに許可を得ていなくても、6ヶ月を超えない範囲で、即ち06731日までは飼養等することができますので、その間に許可申請してください。また、731日までに環境大臣に申請したのに、731日現在、許可するかどうかの処分が出ていない場合には、その処分が出るまで更に延長して無許可で飼養等することができます。(規則212号) 許可が得られれば、もちろんその後も、そのザリガニ1代に限り愛がん目的の飼養等を続けられます。


Q10:06年21日の何時の時点で現に飼育していれば良いのですか?

A10:午前0時に施行されますので、その時点で現に飼養等していたことが必要です。


Q11:特定外来生物のザリガニの飼育許可申請はいつまでにしなければなりませんか?

A11ペット用ザリガニは、0621日に現に飼養等していた人に限り、06731までに飼養等の許可申請を行うことができます。0621日以降は、飼養等を新たに始めることはできず、その場合許可申請をすることもできません。(規則212号)


Q12:06年2月1日より前から飼育していたザリガニを06731日まで飼育したとして、結局許可を得なかった又は得られなかった場合、その後はどうすればよいですか?

A12731日までにザリガニを殺処分してください。放ったりした場合には、懲役3年以下・罰金300万円以下に処せられます。但し、殺すことがどうしても忍びないという方は、水族館等愛がん目的以外の目的で飼養等許可を得ている者に譲り渡すこともできます。(規則11条)



Q13:申請したところで、許可される見込みはありますか?

A13:法5条3項では、許可を得るためには、@飼養等の目的が法に適合していること、A飼養等の施設が基準に適合しており、特定外来生物を適切に取り扱うことができること、B施設の点検を定期的に行い、また、許可を受けていることを明らかにすること などが必要とされています。更に、規則6条により、C罰金以上の刑に処せられその執行後2年を経過していない者でないこと、D飼養等の許可を取り消され取消しの日から2年を経過していない者でないこと が必要とされています。
環境省がザリガニの飼養等許可に関し、どの程度の厳しさで運用するか、今のところ明らかではありませんが、書類に不備がなく必要な要件を満たしているものは積極的に許可されるべきであると考えます。いたずらに厳しい運用は、かえって違法な放流を助長するおそれがあるからです。



Q14:環境大臣への許可申請の仕方を教えてください。

A14:申請書、施設の図面及び写真、証明書類を環境大臣に提出します。
申請書には、@申請者の住所・氏名・職業、Aザリガニの種類・数量、B飼養等の目的、C施設の所在地・規模・構造、D取扱者の住所・氏名・職業、E施設の点検方法、F飼養等が困難となった場合の対処方法、G運搬する場合は、ザリガニの脱出防止措置 を記入します。
証明書類は、@罰金以上の刑に処せられその執行後2年を経過していない者ではないこと、A飼養等の許可を取り消され取消しの日から2年を経過していない者ではないこと を証明する書類です。(規則4条1項、2項)



Q15:申請書はどこへ提出すればよいですか?

A15:飼養等施設の住所を管轄する事務所に持参するか、郵送してください。事務所は、全国に10カ所あります。(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州各地方環境事務所、及び、釧路、長野、那覇各自然環境事務所です。)また、インターネットで電子申請することもできます。その場合、提出先は本省(環境省自然環境局野生生物課)となります。


Q16:申請書の「施設の点検方法」欄にはどのように書けばよいですか?

A16:例えば「毎日2回、施設の異常の有無を確認。」と書くのが一般的です。


Q17:申請書の「飼養等が困難になった場合の措置」欄にはどのように書けばよいですか?

A17:例えば「飼養等許可を受けている水族館に(受け入れ可能な場合)譲り渡す、又は、責任を持って殺処分とする」と書くのが一般的です。


Q18:施設の図面及び写真はどのようなものが必要ですか?

A18:平面図、立面図、縮尺1:5000以上の概況図、施設及び予定地の写真は、必須です。なお、縮尺1:5000以上というのは、例えば、1:3000とか1:500のように実際の大きさに近くなるということであり、1:6000は1:5000以上ではなく以下ですので、ご注意ください。


Q19:「罰金以上の刑に処せられその執行後2年を経過していない者ではないこと」及び「飼養等の許可を取り消され取消しの日から2年を経過していない者ではないこと」を証明する書類は、どのようなものですか?

A19:「私は、特定外来生物による生態系等への被害の防止に関する法律に違反したことが無く、同法施行規則第6条第3号から第5号までに該当しない者であることを報告します。」という文面に、申請者名:○○ ○○(○○ ○○は自筆)と書いて、押印をした書面です。


Q20:申請を提出してから許可するかどうかの処分が決まるまで、どのくらいの期間がかかりますか?

A20:「提出がなされてからの標準処理期間は原則1か月を目途として、申請に係る処理を迅速に行うものとする。」と各地区自然保護事務所長あて環境省自然環境局長通知が出されていますので、標準的には原則1か月と思われます。


Q21:飼養等の施設はどのようなものでなければなりませんか?

A21:アスタクス属、ラスティークレイフィッシュ、ケラクス属については、移動用施設又は水槽型施設等が許可の対象となります。ウチダザリガニについては、移動用施設、水槽型施設等又は人工池沼型施設が許可の対象となります。(特定外来生物の飼養等の取扱細目(告示事項))


Q22:愛がん目的なので水槽型施設等で飼育しようと思いますが、水槽型施設等はどのようなものでなければなりませんか?

A22:まず、水槽型施設等とは、水槽又はこれに類する施設です。そして、@屋外に設置する場合は、土地や構造物に固定するか、運搬できないほど重いものでなければなりません。但し、室内に設置する場合は、その限りではありません。 Aザリガニの体力及び習性に応じた堅牢な構造であり、振動、転倒、落下等による外部からの衝撃により容易に損壊しないものでなければなりません。 Bザリガニの出し入れや給餌等に用いる開口部は、フタ、戸などで常時閉じることができるものでなければなりません。 C開口部は、施錠設備が設けられていること。但し、水槽施設等が室内に常置されている場合は、その他の方法で封印できれば良いとされています。 D空気孔や給排水孔を設ける場合は、ザリガニが脱出できない大きさや構造でなければなりません。(特定外来生物の飼養等の取扱細目(告示事項))


Q23:転倒、落下等による外部からの衝撃により容易に破損しない水槽でなければならないとのことですが、ガラス水槽でもいいですか?

A23:環境省の法の運用の仕方にもよりますが、環境省のホームページで、水槽型施設の図の例として、ガラス製の水槽が用いられているので、ガラス水槽でも許可の対象になるのではないかと思われます。


Q24:水槽の掃除のため、ザリガニを水槽から出してもいいですか?

A24:複数の取扱者の立会いの下、十分な強度を有する網に入れること等の適切な逸出防止措置を講じている場合には、水槽の掃除等のために一時的に出すことができます。(特定外来生物の飼養等の取扱細目(告示事項))


Q25:どれぐらいの期間飼養等することが許可されますか? その期間中に死なずその後も生き続けた場合どうしたら良いですか?

A25:「特定外来生物の飼養等の取扱細目(告示事項)」によると、ザリガニに関しては、許可の有効期間は3年間です。それ以上飼養等を継続したい場合は、有効期間が切れる前に、許可の更新を環境大臣に申請することが必要です。


Q26:許可を受けるに当たって、飼養するザリガニにマイクロチップを埋め込まなければいけませんか?

A26:「特定外来生物の飼養等の取扱細目(告示事項)」によると、ザリガニに関しては、識別のための措置として、哺乳類、鳥類、爬虫類等のようにマイクロチップを埋め込む必要はありませんが、ザリガニを収容する施設に許可証を掲げ、その状況を撮影した写真を添付して、飼養等を開始したときから30日以内に環境大臣に届け出る必要があります。


Q27:特定外来生物に指定されたザリガニの繁殖は可能ですか?

A27:ペットとして飼養等しているザリガニについていえば、許可を得て飼養等している場合も、無許可で06年7月31日までの間飼養等している場合も、06年2月1日の時点で飼養等していたザリガニについて、そのザリガニ一代限り飼養等できるのであって、その子孫の飼養等はできません。従って、繁殖はできません。


Q28:ペットとして許可を受けて飼育していたザリガニが産卵してしまいました。どうすればいいですか? 孵化するまでは「飼養」に該当しませんか?

A28:卵の状態であっても生きている限り特定外来生物であり(法2条)、これを飼養、保管等すれば、法で禁ずる「飼養」「保管」等に該当し、処罰されます。従って、意に反して特定外来生物のザリガニが産卵してしまったら、直ちに卵を殺処分してください。卵を殺処分せずに河川・湖沼等に流すと、法で禁ずる特定外来生物を「放つ」ことに該当し、処罰されますので、ご注意ください。下水に流しても、下水で生存する可能性が否定できない以上、法で禁ずる「放つ」ことに該当するものと思われます。なお、無精卵については、法でいう「生きている」状態ではないので、特定外来生物に該当せず、保管や放流をしても処罰の対象にはなりません。


Q29:ペット店で主にザリガニを販売することを生業として営んでおりますが、施行後も「生業の維持」のために販売は許可されますか?

A29:規則3条では、環境大臣により許可される場合として、「生業の維持」目的が掲げられています。しかし、ペット店では愛がん目的のザリガニが販売されるわけですが、施行後は新規に愛がん目的で飼養等することは禁じられますので、ザリガニを新規購入できる愛好家は存在しません。従って、ペット用ザリガニの需要は理論上ゼロとなるわけで、その販売が許可されることは困難です。専ら学術研究用や展示用のザリガニを販売することを生業としているならば、許可されるかもしれません。


Q30:食用アメリカザリガニの養殖業者ですが、今後はヤビーの養殖も手がけたいと考えています。「生業の維持」目的での飼養等が許可されますか?

A30056月にブラックバスが特定外来生物に指定された際、ブラックバス以外の魚を従来から取り扱っていた釣堀や養殖業者が、ブラックバスを新規に取り扱おうとする場合には、「生業の維持」目的には該当せず、飼養等の許可の対象としないという運用方針を環境省は出しています。従って、ザリガニについても、従来からアメリカザリガニを扱っていた業者が、政令施行後新規にヤビー等の特定外来生物を扱うことは、「生業の維持」目的として許可されることはないものと思われます。


Q31:アマチュアですがザリガニの研究をライフワークとしてきました。「学術研究」目的での特定外来生物であるザリガニの飼養等が許可されますか?

A31:まず、飼養等の目的が学術研究であることを説明する書類又は研究計画書などを申請書に添付して提出することが必要です。一般的には、大学の生物学科や水産学科、水産試験場のような研究機関が行う研究は、「学術研究」として許可の対象となるものと思われますが、アマチュアの個人が趣味として行っている研究が「学術研究」であるか否かについては厳正に審査されるものと思われます。しかしながら、アマチュアの個人研究家であっても、例えば、学会のメンバーとなっており、研究成果が学術専門誌に論文として掲載された実績がある等により、学会から研究者として認められている場合などは、許可される可能性はあるものと思われます。


Q32:小学校教師ですが子供達にザリガニの生態を見せるために教室で特定外来生物のザリガニを飼育したいと考えています。「教育」目的での飼養等が許可されますか?

A32:@小学校での当該ザリガニ飼養等が愛がん目的(要するにペット目的)の域を出ないものではないこと、Aアメリカザリガニではなく特定外来生物のザリガニ飼養等でなければ教育目的が達成できないという特殊性があること等が、十分説明できなければ、許可の対象となることは難しいのではないかと思われます。日本全国には夥しい数の小学校の教室が存在しますが、許可の乱発は自然界への特定外来生物の流出の危険性があるため、環境省は慎重な運用を行うのではないでしょうか。しかしながら、環境省のホームページで、教育目的の飼養等許可申請書の記入例として、高校の生物部顧問教諭がブラックバスを飼養等するケースを取り上げていますので、この程度のものであれば、許可の対象となるものと思われます。但し、その場合でも、飼養等の目的が教育であることを説明する書類の添付が必要です。


Q33:自宅の庭の池に放しても、法で禁ずる「放すこと」に該当しますか?

A33:「放つ」とは、特定外来生物を自由にさせることをいいます。自宅の庭の池にザリガニを放し飼いする場合でも、その特定外来生物には行動の自由があり、排水口等から自宅の外に逃げ出すおそれも高いことから、法で禁ずる「放つ」ことに該当し、処罰されます。


Q34:ヤビーをアメリカザリガニだと勘違いして飼育していた場合、処罰されますか?

A34:法で禁ずる「飼養等」に該当するか否かについては、@特定外来生物の存在を認識しうる状況にあるか、A具体的に特定外来生物の飼養等を行っているか、により判断することとなります。従って、社会通念上一般人をして認識しえない場合に意図せずに行った行為は故意性が認められず、処罰の対象とはならないと考えられます。ヤビーについては、かなり特徴のあるハサミ等を見ればアメリカザリガニと別種であることは容易に判断がつき、図鑑等を見ればヤビーであることは一目瞭然ですから、「社会通念上一般人をして認識しえない場合」とは言い難く、一般的には、故意性が認定されて処罰されるのではないかと思われます。


Q35:熱帯魚の雑水槽中にヤビーが紛れ込んでいることに気がつかないで飼育していました。処罰されますか?

A35:法で禁ずる「飼養等」に該当するか否かについては、@特定外来生物の存在を認識しうる状況にあるか、A具体的に特定外来生物の飼養等を行っているか、により判断することとなります。従って、社会通念上一般人をして認識しえない場合に意図せずに行った行為は故意性が認められず、処罰の対象とはならないと考えられます。例えば、我々アマチュアが使用している60センチ水槽においてはヤビーの存在を認識しやすい状況であり、また毎日餌を与えていたのであれば、「社会通念上一般人をして認識しえない場合に意図せずに行った行為」とは言い難く、一般的には、故意性が認定されて処罰されるのではないかと思われます。例えば、自宅の庭に濁水の池があり、そこに知らず知らずのうちにヤビーが棲み付き、自然の餌をヤビー自らが勝手に捕らえて棲息していたような場合には、「社会通念上一般人をして認識しえない場合に意図せずに行った行為」と判断され、処罰を免れることができるのではないかと思われます。


Q36:ウチダザリガニが釣れてしまいました。どうすれば良いですか? 直ちに殺さなければいけませんか? そのままリリースすると、法が禁ずる「放つこと」に該当しますか?

A36:釣れたウチダザリガニを持ち帰って飼養することができないのはもちろんですが、クーラーボックスなどに入れて「一定時間自己の勢力範囲に」置くと、法で禁ずる「保管」になり処罰されます。「保管」とは「特定外来生物を自己の勢力範囲に保持して、その死傷を防ぐ」ことを言いますが、「保持」と認められるためには、一定時間自己の勢力範囲内にあるか一定時間自己の勢力範囲にあることが明確に予想される状態であることが必要で、「一定時間」に該当するかどうかは、特定外来生物の取り扱いの状況や意思の内容などを総合的に勘案し、個別に判断されます。例えば、釣った後元の池に戻すことが明らかなイベントでウチダザリガニを扱う場合について、当該イベント終了後も引き続きそのウチダザリガニを生かしてクーラーボックスなどに入れておくことは、「保管」に該当します。
法が禁ずる行為をしないために、直ちに殺処分することは一つの方法です。また、キャッチアンドリリースは、釣った河川・湖沼に釣り人自ら行うのであれば、法が禁ずる「放つこと」に該当しません。以上より、特定外来生物のザリガニを釣った場合には、一定時間内に殺処分するかその場でキャッチアンドリリースしてください。



Q37:ウチダザリガニが釣れたときに水の入っていないクーラーボックスに入れた場合、法で禁ずる「保管」に該当しますか?

A37:環境省は、ブラックバスについては、「『特定外来生物』は生きているものに限るとされているため、例えば水の入っていないクーラーボックスにブラックバスを入れることは「保管」に該当しないのが原則。」と言っています。(自然環境局長通知(17.6.1)別紙1)「但し、例えば、取り扱われる特定外来生物に該当する魚が、水が入っていなくても長時間生きられる場合などについては、「保管」に該当する場合がある。」とも言っており、ザリガニは通常水が入っていなくても長時間生きてられるので、「保管」に該当するものと思われます。


Q38:特定外来生物であるザリガニを放流したときの罰則を教えてください。

A38:法で禁ずる「放つこと」に該当し、重い方の罰則である懲役3年以下・罰金300万円以下に処せられます。(法32条) 更に、罰則ではありませんが、放流等が原因で特定外来生物が増えて防除する必要が生じ、国が防除を実施した場合に、その一部又は全部の費用を負担させられることとなり(法16条)、 莫大な費用を負担させられることも考えられます。


Q39:食用のマロンやレッドクロウは輸入されるのでしょうか?

A39:法2条により、特定外来生物の定義としては、生きたものに限るとされています。従って、冷凍やボイルされた食用マロンやレッドクロウは法律上の特定外来生物には該当せず、輸入は禁止されません。マロンやレッドクロウの生体に関していえば、これらのザリガニを食用に輸入することを生業にしている人がその生業の維持のため、許可を受けることは可能です。(法5条、7条、規則3条) 但し、環境大臣は、必要の限度において、当該許可に条件を付すことができます。従って、マロンやレッドクロウが食用として消費者に生体のままみだりに販売されて、そこから自然界に逃亡すること等がないよう、厳格な取り扱いが条件として付されるものと思われます。特定外来生物の2次選定では、上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)も特定外来生物に指定されましたが、従来、上海ガニは鮮度を保つため、生体がタコ糸で縛られて鮮魚店でよく売られています。施行後もこのように販売することが許されるか否か、法の運用を注目したいと思います。


Q40:飼養等の許可を得ていない者が、鮮魚店で食用として購入した上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)やマロンの生体を持ち帰ることは、法で禁止されている「保管」や「運搬」に当たりませんか?

A40:「保管」とは、「特定外来生物を自己の勢力範囲内に保持して、その死傷を防ぐこと」を言い、「運搬」とは「特定外来生物を運び異なる場所に移すこと」を言います。(自然環境局長通知(17.6.1)) このため、許可を受けていない者が上海ガニやマロンの生体を持ち帰ることは、一般的には、法で禁止されている「保管」や「運搬」に該当するものと思われます。但し、タコ糸に縛られた上海ガニを家に帰ってそのままボイルする、すなわち殺処理をすることが明白な状況下では、「自己の勢力範囲に保持して、その死傷を防」いでいると解することは適当ではなく「保管」に該当しないという解釈できる余地もあるように思われます。なお、鮮魚店から持ち出す際に、そのまま殺処理すると誓約書を書く等すると、より一層その意図が明確になります。同様に、殺処理をすることが明白な状況では、「運搬」にも該当しないという解釈の余地もあるように思われます。いずれにせよ、環境省の見解と運用を待ちたいところです。
もとより、法2条により特定外来生物は生きているものに限るとされているため、許可を得ている鮮魚店で絞める等殺処分をしてもらえば、その上海ガニやマロンはもはや法律上の特定外来生物ではなく、問題ありません。



Q41:ネット・オークションで特定外来生物に指定されたザリガニを売りに出したらどうなりますか?

A41:政令施行後、無許可の者がネット・オークションで当該ザリガニを売りに出した場合、たとえ売り手が付かなくても、販売目的で飼養等をしたとみなされるので、法32条により懲役3年以下・罰金300万円以下に処せられます。これは、単に飼養等しただけの懲役1年以下・罰金100万円以下に比べより重い処罰です。


Q42:飼養等の許可を受けている者同士での売買はできますか?

A42:一般的には、飼養等の許可を受けた者同士での売買や譲渡し等はできますが、愛がんを目的として許可を受けた者同士での売買や譲渡し等はできません。但し、愛がん目的以外で許可を受けた者が、愛がん目的で許可を受けた者ややむをえぬ事由により無許可となっている者から譲り受けることは、有償無償にかかわらず、できます。(規則11条)


Q43 規則改正の概要を教えてください。

A43:規則改正により、規則別表で、未判定外来生物についても新たに追加され、ザリガニについて言えば、殆ど全てのザリガニ(ニホンザリガニ、アメリカザリガニ、及び特定外来生物に指定されたザリガニを除く全てのザリガニ。すなわち、エビ属ザリガニ科約10種、アメリカザリガニ科約350種、ミナミザリガニ科約150種)が未判定外来生物に追加されました。これらのザリガニについて、飼養等は禁止されていませんが、輸入しようとする者は、あらかじめ届出をし、その未判定外来生物が「生態系等に係る被害を及ぼすおそれがあるものでない」旨の判定を得なければ輸入はできません。(法21条〜24条) このため、ペット用ザリガニの輸入は、個人・業者を問わず、極めて難しくなったものと考えられます。国内ブリードは禁止されていないため、ペット用ザリガニの供給は国内ブリードものが主体となるものと思われます。