覆面座談会 第4弾!

おことわり
本コーナーは、実際に行われた議論を再現したものですが、ざりがに.COM運営者の意見を反映するものではありません。

日時:2007年4月4日
場所:東京 千代田区某ホテル内レストラン
参加者:A氏、B氏、C氏、D氏(各氏とも匿名希望)



A氏「皆さん、今日は、満開の桜を見ながら、一杯ということで・・・。」

B氏「のんびり酔っ払って・・といきたいところですが・・・。先週、ちょっとしたニュースがありましたね。遂に外来生物法違反に官憲の手入れが入りました。」

C氏「はい。報道によれば、外来種のカエルをインターネット・オークションに出品した町田市のペットショップと、港区の魚介輸入業者に、外来生物法違反容疑で警察の強制捜査が入りました。外来生物法違反に関する摘発は、今回が初めてです。」

D氏「強制捜査の対象が、ザリガニ派でなく、カエル派であったのが、我々にとってはせめてもの救いですが・・・。」

A氏「ツボカビ騒動の影響でしょう。昨年末に我が国で初めてツボカビが発見されたわけですが、中米やオーストラリアでカエルに猛威を振るった病気なので、急速に危機感が煽られました。この危機感を後ろ盾として、カエル派に官憲の手が入ったのでしょう。」

B氏「昨年末にツボカビが発見されたのは、南米原産のカエルからですが、今回摘発を受けたのは、インドネシアから来たヘリグロヒキガエルで、種類も全く異なるカエルです。」

C氏「これまでツボカビはアメリカ、アフリカ、ヨーロッパ等で発見されましたが、アジアでは、日本を除き、発見されていません。今回摘発されたヘリグロヒキガエルはアジアのカエルですよ。ツボカビの侵入を防ぐのが目的なのであれば、インドネシアのような非感染地域から来たカエルをストップさせるよりも、まず、感染地域からのカエルをストップさせることに全力を注ぐべきでしょう。ちょっと的が外れています。」

D氏「要するに、「一罰百戒」ということでね・・・。シロウトは何もわかりませんから、これはツボカビ対策だと勝手に思い込み、それなら仕方がないと考えるでしょう。ところが、ツボカビとは直接の関係はないわけで、本来の目的は、外来生物法違反の下手人を早くお縄にして「見せしめ」とすることで、下々の外来生物法の遵守、すなわち「恭順」を得ようという魂胆だったのではないですか?」

A氏「確かに、殆どの記事がツボカビと関連させて書いてありました。もしかしたら、当局がリークする際に、意図的にツボカビにも言及したのではないですか?」

D氏「報道によれば、捜査の端緒は、インターネット・オークションで出品されているのを財団法人「自然環境研究センター」の職員が見つけ、当局に通報したことだそうです。これを見て、私は思わず苦笑してしまいましたよ。」

C氏「「自然環境研究センター」と言えば、環境省所管の公益法人で、環境官僚の天下り先ですからね。」

D氏「昨年、不透明な随意契約による税金の無駄使いが、盛んにマスコミで叩かれていましたけど、環境省は90パーセント以上が随意契約で、全中央省庁中トップでした。「自然環境研究センター」にも、当然ながら随意契約で税金が注ぎ込まれ、それが結局、天下った環境官僚OBの食いブチになっているわけでしょう。」

B氏「外来生物法を作ったお役人様は、環境省に新たな許認可権をもたらし、OBの食いブチを確保することとなったわけですから、省内では勲章ものでしょうね。また、「自然環境研究センター」に天下った元お役人様は、今後も外来生物法違反をせっせと見つけて、当局に通報するのでしょう。そうすることが、権益の維持・拡大になりますからねえ。骨抜き「公務員制度改革」なんか屁の河童でしょう。」

A氏「警察も色々お忙しいでしょうから、また面倒な仕事が増えたと迷惑に思っているかもしれませんが、通報された以上、取り締まらないわけにはいきませんからね。」

C氏「それにしても、カエル派の摘発は、もはや他山の石ではありませんよ。ネット・オークションで、特定外来生物のウチダザリガニが出品されているのを見たことがあります。今後は、「自然環境研究センター」が通報し、即お縄となるわけですね。」

D氏「外来生物法は多くの種類を指定しすぎているので、水際取締まりを担っている税関だって、現物を見て、特定外来生物なのか、未判定外来生物なのか、それ以外なのか、直ぐには判らんでしょう。ワシントン条約違反、すなわち「種の保存法」違反を見つけるので、精一杯だと思いますよ。結局、水際取締りは困難なので、国内のヒラバでの取り締まりが主体となりますが、そこで期待されるのが今回のような密告です。」

A氏「密告社会到来ですか。暗いなあ・・・。」

C氏「理論的には、オトリ捜査だってあるわけで、ネット・オークションにウチダザリガニを出品しているのが、実は取締り当局だったりして・・・。悪い冗談ですが。」

B氏「今回驚いたのは、特定外来生物ではなく、未判定外来生物が強制捜査を受けたことです。未判定外来生物は生態系等に被害を及ぼすものであるかどうか未だ判っていない生物です。つまりシロかもしれない生物なのです。」

A氏「だから、未判定外来生物は、飼育、繁殖、売買等が自由なわけですよね。輸入の際に届出が必要なだけです。」

C氏「では、今回輸入した下手人は、実質犯ではなく、届出を怠った単なる形式犯であるわけですか。」

D氏「当局の断固たる並々ならぬ決意が感じられますね。未判定外来生物さえも容赦はせぬ、ましてや特定外来生物をや・・というね。」


B氏「ところで、「自然環境研究センター」は、未判定外来生物であるヘリグロヒキガエルがネット・オークションに出品されているのを見つけて当局に通報したわけですから、ザリガニについても、同じことをやっている可能性がありますね。」

A氏「ネット・オークションには、フロリダ・ブルーやミステリー・クレイフィッシュなどの未判定外来生物が出品されていますよね。未判定外来生物の売買は問題ないはずなのに、あれも、通報されているわけですか?」

C氏「国内ブリードものを売買することは合法ですが、無届輸入ものは違法です。ネット・オークションを見ただけではどちらかわからないので、「自然環境研究センター」は、とりあえず当局に通報して当局に取り調べさせようという考えなのでしょう。」

D氏「まさに密告社会到来ですね。」

B氏「当局も通報を受ければ放っておくわけにはいきませんから、任意での取り調べぐらいはやらないとも限りませんよ。突き上げ捜査で、元を辿っていけば芋づる式に何か見つかるかもしれませんしね。」

C氏「ザリガニは、アメリカザリガニとニホンザリガニを除けば全て特定外来生物か未判定外来生物のどちらかですからね。ヒドイですよ。」

A氏「その点、カエル派はうらやましいな。特定、未判定どちらにも指定されていない種類が沢山ありますからね。ザリガニだけですよ、全面的に指定されちゃったのは!」

D氏「何でオカミは、そうやって下々の楽しみを弾圧するのですかね?」

B氏「フロリダ・ブルーをネット・オークションに出品したことがありますが、私も「自然環境研究センター」に通報され、当局に内偵されたのかな? 自家製ブリードものなので、完全に合法なのに!」

C氏「イヤですねえ、ザリガニごときで任意取調べなんて。私は絶対に拒否しますよ。」

D氏「意気地になればなるほど悪い結果になるんじゃないですか。令状請求されて、身柄取られたらオシマイですよ。映画「それでもボクはやってない」見ました? 痴漢冤罪事件の映画です。痴漢とザリガニとの違いはありますが、同じようなものでね。いくら合法を主張したところで、「微罪なんだから、白状すれば在宅起訴で済むよ。」とか何とか言われれば、フラフラと誘惑にのり、やってもいない罪を認めてしまうものですよ。」

B氏「あり得ますね。外来生物法33条の規定により、たった1年以下の懲役ですけれど、結局は、新聞やテレビで報道されるわ、会社はクビになるわで、散々な目に遭います。前科は前科だし。そりゃ、やっぱり御免ですわ。」

C氏「我々のように環境省の悪口なんか言ってないで、おとなしくしているザリガニ愛好家団体もあるわけで・・。NPO法人の認可だって環境省がやるわけですから、尻尾を振るっていう選択肢もありますけどね。」

D氏「NPO法人「ざりがにドットコム」なんちゃってね。おカミから補助金もらって・・。天下りの一人でも受け入れれば、認可されるかもしれませんけどね。江戸っ子ってえのは、そういうのが、でえ嫌いなんですよ!」

A氏「浮世絵師の喜多川歌麿は偉大でしたね、弾圧にも屈せず・・・。少しは見習いたい。」