覆面座談会 第9弾!

おことわり
本コーナーは、実際に行われた議論を再現したものですが、ざりがに.COM運営者の意見を反映するものではありません。

日時:2010年7月2日
場所:東京 文京区某牛鍋専門店
参加者:A氏、B氏、C氏、D氏(各氏とも匿名希望)


A氏「季節はずれのすき焼だからか、口蹄疫のなせるわざか、お客が少ないですね。この老舗そろそろオシマイかなあ。最近は、ザリガニについても、これといった明るい話題もなく、そろそろ私たちも店をたたんだ方がいいのでしょうかね?」

B氏「日本全体を見ても、シケた話ばかりでね、デフレを助長するような元気のなくなる政策ばかりなので、それも当然。デフレの蔓延は、ザリガニ界と同じですよ。」

C氏「2007年以前は、ザリガニ規制もなく、多様な種類のザリガニが店頭に並び、ザリガニ愛好家たちは目を輝かせ、生き生きとしていたのが、まるで夢のようです。将来は、子供たちに世界のザリガニ図鑑を見せながら、「おじちゃんたちの時代は、こういう素晴らしいザリガニを家で飼っていたんだよ。」と昔語りをすることにでもなるのですかね。」

D氏「「昔の日本はこんなに活気があって、一人当たりGDPは世界一だったんだよ。」と、すっかり落ちぶれてしまった日本経済を語る我々の将来像に、すっかりオーバーラップしますね。」

B氏「ザリガニ愛好家にとって華やかな文化文政期は終わってしまったんですね。幕府の厳しい弾圧に遭ってね・・・。本当にあのころが懐かしい。百花繚乱とはあのことでしたよ。多種多様なザリガニに囲まれて、実に楽しかったなあ・・・。」

C氏「ええ、短かったが、いい時代でしたね。ザリガニ愛好家にとっては・・・。規制緩和の波に乗ってねえ・・・。本当に楽しかったなあ・・・。」

A氏「ところで、○○省所管の生物多様性国家戦略が策定され、前総理はご満悦でしたね。トキがテンに喰われないよう追記まで指示しちゃった・・・。
「生物多様性」のための国家戦略というので、再び多様な生物が飼える、すなわち多様な種類のザリガニが飼えるのかと、早合点してしまいました。ところが、何のことはない、事実はその逆で、規制を厳しくして多様な生物を愛好家が飼えなくする政策でした。」

B氏「ザリガニに対する規制は、既に行きつくところまでいっちゃってますから、別に国家戦略をぶつけて来ようともはやどうってことないと思いますがね・・・。」

C氏「いやいや、侮れません。オカミのやることには限りがない。オーバーキルだって何だってやる人たちです。」

D氏「「多様性」という言葉は響きが良いから利用されるのですよ。特にリベラル層にはね・・・。「友愛」総理の飛びつきそうなアイテムでした。アメリカで言えば、社会の多様性diverisityを進めることがリベラルの国家戦略でしょう。大学の入試でも、日本のように点数の高い方から順番に合格とするのではなく、生徒のバックグラウンドの多様性を求めて、色々な人間を合格させようとする。そこでアフリカンアメリカンにゲタを履かせるAffirmative actionをやったりする。これが、生物一般に対しても「生物多様性Biological diversity」という言葉が好んで使われる所以です。我が国では、生物多様性条約事務局を東京に招致しようという盛り上がりまで見せている。」

B氏「「生物の多様性」を確保するために、ペットになる生物の多様性だけは徹底的に規制・弾圧する・・・。要するに、為政者の目から見れば、ペットは生物ではないということですかね。単なる愛玩具・・・。」

A氏「しかし、クロマグロの規制に対しては、国家一丸となって抵抗するところが、この国のダブルスタンダードなんだな。一方で生物多様性国家戦略を掲げながら、他方では恥も外聞もなく国際会議で大反対する。クジラも同じですがね・・・。首尾一貫していません。」

B氏「私なんかクロマグロが規制されたってどうってことありませんよ、元々赤身しか食べませんからね。大トロだの中トロだのに比べて影響は少ない。トロ、トロと有難がっている人は困るでしょうけど・・・。でも、江戸っ子っていうのは意地でも赤身しか食べませんよ。江戸前寿司といったら、赤身のヅケ、コハダ、エビ、玉子、・・・に昔から決まってるでしょう。直ぐに鮮度が落ちるウニなんか死んだって喰うもんか。アオヤギだって捨てていましたよ・・。」

C氏「規制、規制と言いますがね、ザリガニ愛好家が好んで飼っていたヤビーやレッドクロウが放たれてその後日本のどこかで見つかったという話は、未だかつて聞いたことがありません。すなわち、ヤビーやレッドクロウが我が国の生態系を乱したという事実はいまだかつて無いということですよ。見つかるのは、かつて日本政府が自然界に放ったウチダザリガニ、そしてアメリカザリガニだけでしょう? ウチダザリガニは関東でも見つかったらしいですが・・・。」

B氏「私は、そこが一番口惜しいんですよ。冤罪の菅谷さんにも似た口惜しさだ。ザリガニ愛好家がやったわけでもないのに、まるでやったかのような規制の仕方ですからね。やったのは、日本政府なのに・・・」

D氏「北海道では、ウチダザリガニ大掃討作戦が進行中で大量殺戮がなされているにもかかわらず、根絶からは程遠い状況ですね。
イギリスのグラスゴー大学のグラッドマン教授が、「シグナルクレイフィッシュ(ウチダザリガニ)の大殺戮作戦は逆効果であり、かえってウチダザリガニの繁殖を招く」という研究成果を発表し、マスコミで取り上げられました。スコットランドでは4ヶ月で百万匹を超す大量防除が行われましたが、結果的には繁殖力の旺盛な若いザリガニにとって生存競争が楽になったので、その分以前より数が増えたとのことです。」

B氏「前回の座談会で私が言ったとおりだ・・・。でも、さすが民主主義・言論の自由の国ですね、そういう発言が許されるのだから。日本でそんなこと公言したら、たとえ真実であっても、発言者は袋叩きにあうでしょう。」

D氏「アンチ・シグナルクレイフィッシュ・キャンペーンをやっているイギリスの環境活動家は反論したいところでしょうけど、その環境活動家にマヌケな人がいましたね。自分ではシグナルクレイフィッシュをせっせと捕獲しては喰って防除していたつもりが、実際は保護すべき稀少種ホワイト・クロード・クレイフィッシュをせっせと喰っていたということで、結局警察に逮捕されました。ニュースご覧になったでしょう?」

A氏「やっぱり、そんなレベルでしたか・・・。見分けはさほど難しくはないはずですがねえ。本人は善行をしているつもりかもしれませんが、そういう独善者は何もしない無関心者よりもよっぽどタチの悪い大バカ者です。日本にも同じような人がいるかもしれない。」

C氏「ところで、もうずいぶん前の話になりますが、ニホンザリガニ青固体がネットオークションでかなりの高値で売買されているということがニュースになりました。」

B氏「ハイハイ。医者や弁護士が買っていたということですが、金持ちは気前がいい。オス2万円、メス3万9千円だそうですが・・・。」

C氏「売主は、網走管内美幌の会社員だそうですが、200匹も売ったそうで、まさに荒稼ぎですね。2007年に北海道新聞が、網走のある川ではニホンザリガニの10匹に1匹が青個体であることを報道した段階で、こういう不逞の輩が出てくるのは時間の問題だと思っていましたよ。」

A氏「それで、網走市議会では、規制の検討に乗り出しているそうですが・・・。」

D氏「ただ規制して終わりというマイナス思考だけでなく、更にプラス思考でも対応してもらいたいものですね。例えば、青色ニホンザリガニをガンガン養殖して増やすとか・・・。」

B氏「旭川に旭山動物園という素晴らしい施設があるじゃあないですか。あそこに青色ニホンザリガニの大増殖計画を担ってもらうとか・・・。」

A氏「養殖モノの青色ニホンザリガニがどんどん供給されるようになれば、自然界のニホンザリガニを捕らえてペットにしようと考える人が減って、ニホンザリガニの保護にプラスに働くでしょう。自然色の茶色よりもコバルトブルーのニホンザリガニの方がペットとしてはよっぽど魅力的ですからね・・・。」

C氏「栃木の「なかがわ園」では既に青色ニホンザリガニの養殖に着手していると、以前どこかに出ていましたけどね、その後どうなったかなあ?」

D氏「ところで、最近よくオークションに、様々な北米種ザリガニが出ていますよね。全てある特定の人が出しているようですが・・・。これらは、未判定外来生物なので、輸入するには当然届出が必要なわけですが、届出を出したところで○○省は輸入を許可しないでしょう。ということは、規制が出来る2007年以前に輸入したザリガニそのものか、それを元に国内ブリードしたものか、どちらかということになりますね。」

A氏「規制開始から3年以上経っているので、おそらく国内ブリードものでしょう。この人が、よくもこんなに沢山の北米種をブリードしてきたものだなあと感心してしまいました。駆け込み輸入だったかもしれませんが、いずれにせよ、先見性があり独自の努力をしてきた報酬でしょうけれど、価格も驚くほど高いですね。最低でも万単位、中には十万単位のものもあります。」

C氏「そんな高額を出せるのは、やはり医者か弁護士しかいませんよね。これからは、アメザリ以外のザリガニをペットとして飼うのは、金持ちだけですか。庶民には高嶺の花になってしまうのですね・・・。「ザリガニ愛好家」というのが一種のステータスシンボルとなる日もそう遠い将来の話ではなくなるかもしれない・・・。」

B氏「あれが、国内ブリードものではなく無届輸入モノだったりしたら、大変なことになりますね。見せしめとして、全ザリガニが未判定外来生物から特定外来生物に格上げされてしまうかもしれない。そうしたら、国内ブリードもののフロリダブルーやミステリーは全て飼えなくなってしまう。」

A氏「当局は既に内偵しているかもしれませんよ。CD(コントロールド・デリバリー)やったりしてね・・・。」

D氏「ライブCDですか? 銃器や麻薬と違って、まさに生きている(ライブ)ですからね。でも、水際取締当局である某省監視課長は、自他共に認めるザリガニ愛好家だったから、ひょっとしたらお目こぼししていたかもしれない・・・。」

B氏「いやいや、また自然環境研究センターが警察当局に密告しているのでしょう。」

C氏「ザリガニ規制の立役者のお役人様たちが天下っている自然環境研究センターの話はもうしたくないのですが、業務仕分け第2弾の対象となる公益法人として、3月の時点で、枝野さんが発表した50法人のリストの中には入っていたのですが、仕分けが行われる5月にいざフタを開けてみたら、まんまと対象から逃れていたのにはビックリしました。」

B氏「お役人が手を回して、「エコを敵に回すおつもりですか?」とか何とか慇懃無礼にブラフしたのかもしれない。蓮ホウさんも「何故、世界一でなければダメなのですか?」発言でダメージを受けていますから、選挙前の大事な時期でもありますから、ビビッてしまったのかもしれませんね。これまでの座談会で指摘しているように、叩けば埃は沢山出てくるはずですけどね。」

D氏「今回も明るい話はありませんでしたが、我々のように唯一の楽しみを奪われてしまったおじさんたちは、今後一体どうすればよいのでしょうかね?」

A氏「ドイツ移住しかないでしょう。それともアメリカ?」

D氏「次回は、タックスヘイブンならぬ、ザリガニ・ヘイブン移住を検討することにして、今夜はお開きにいたしましょう。」